【コラム】最近オープンした店を見て思ったこと

めずらしく、あんまりポジティブじゃない記事です。笑

自分の頭の思考整理のために書いたので、よかったら見てください。

 

 

最近台南で、コンセプトを感じられないコピーのような店が増えている印象です。

新しい店ができても、どこかで見たような内装だったり、コンセプトだったり、

メニューだったりで、何でお店開いたんだろって思うような場所が多い。

 

自分で店を開けるのに、台南は物理的・精神的なハードルがともに低いです。

お店を開いている人とのつながりが得やすく、アドバイスを受けやすいし、

自身で開業する人に対する尊敬も強いので、変な圧力も感じない。

さらにコスト的、法的にも日本と比べると

ものすごく開店、開業しやすい環境があります。

 

ただ一方で、それが安易で適当な店を生んでいる気もします。

「ほら、店開くってカッコイイじゃん?とりあえずやってみるか?」的な。

色んな人に実際に話を聞いたのですが、

店をやりたいのに何売るかは決めてない、コンセプトも決まってない、

って平気な顔で言われたりします。

 

自分としては、少なくとも自分で店を開ける、

ビジネス、ブランドを立ち上げる、という行為の裏には、

自分が体現したい強い想い、

ないしは現状はびこっている課題に対する強烈な反対感情があり、

それが既存のサービスでは対応不可能、もしくは不十分であるからこそ、

あえて自分でやる道を選ぶのかなと思っていました。

 

だから、僕は自分で動いて何かを作りあげる人間を尊敬するし、

その人の考え方や、歩んできた人生にとても興味があります。

 

それとともに、自分がいいなと感じるものは、

売っているもの・サービスそのものの魅力はもちろん、

そこに作り手の思想なり、人生経験が深く反映されていたり、

そのブランドが目指している世界が明確で、その意義を感じ取ることができる、

そんなものであることが多いです。

 

でも最近開いた店を色々見ていると、

作り手のやりたいこと、体現したいことが全く見えず、

もしくは言っているものの細部がそれに伴っておらず、

ただ見た目がいい、インスタ映えするようなものになっているのをよく見ます。

そして、見た目がいいという理由で意味なく値段が高いです。

 

さらにそのような店のいくつかは、有名なデザイナーが関わってたり、

有名な店、ブロガーとか、影響力のある人たちが

SNSを通じて拡散することによって集客を成功させ、

人気店となっています。

 

見た目やデザイン、そしてSNSなどを通したマーケティング活動というのは、

自分はあくまで手段であると思っています。

まず、達成・実現したい理念があり、それを体現するための手段として、

デザインやマーケティングはあるべきだと。

 

ただ最近よく見るのは、手段が先行し、

中身のない、ぱっと見良さげなものが注目を浴びていることと、

さらに残念なことに、そこに流れてしまう人がとても多いという現実です。

 

本当に良いものってなんだろう、と考えます。

そもそも、ものの価値って一般化できるものではなく、

それぞれの人のニーズや、思想・哲学的な内面部分によって変容するものだと。

簡単にいうと、その人の好きなもの、共感するものであれば価値が高まり、

そうでないものは価値を感じられない、

そんな、決まった正解のないものだと思います。

だから自分も、何か特定ものについての価値を啓蒙する気はさらさらありません。

 

ただ自分が危惧しているのは、

本当に良いものの価値を判断するのは、自分自身であるはずなのに、

他人目線の、単に見た目がいいものに取られているのではないか、

つまり消費者側の自己理解不足や、SNSを含めた他人目線での価値判断が、

本質的な良さに対する感覚を薄めてしまい、ついには

自分の好きなもの、嫌いなものすら判断できなくなっているのではないか、

ということです。

 

 

ただ色々と見ていると、時々ふと、

消費者の大多数は現状間違いなく”そっち側”、流れで動くフォロワーたちであり、

そこをターゲットとした方が安定したビジネスを展開できるのではないか、

とか普通に思ったりします。

というか、その方がすでに顕在化しているニーズを追えるので楽な気もします。

 

でも、現状ウケるものをただ作るのでは何も世界は変わらないし、

自分でやる意味なんてそれこそ何もないので、

使うとしても、手段としてその層を利用するにとどめ、

そしてそのうち”こっち側”が世界の正となることを祈りながら、

自分の理念を突き通していきたいなと改めて思いました。

 

 

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