スペシャルティコーヒーとは。一体なにがスペシャルなの?

スペシャルティコーヒーって。

最近よく聞く「スペシャルティコーヒー」。
「BASTET COFFEEは全部スペシャルティです」なーんて言っているけど、賢いネコたちは「結局何がスペシャルなの?」って気になるヨネ。うんうん。そういう好奇心は大事ヨ。

「自家焙煎」って書いてあったり、「ブラジル なんとかなんとか」とか書いてあったり。なんか色々書いてあると、美味しそうに見えるしネ。
そんな迷いネコたちの光になれるよう、スペシャルティコーヒーってなに?を解説していくヨ。

まずはまとめ

「スペシャルティコーヒー≒おいしいコーヒー」なのだけれど、

①ウマい🐎

②誰がどうやって作ったか分かる

という2つセットなのがポイントヨ。

”スペシャルティ”っていうのは認証みたいなものでネ。
「これはスペシャルティ」「これは違う」って判断がされるの。おいしいっていうのは最低条件なのだけれど、誰がどうやって作ったの?っていうのがわかっていないとダメなのヨ。

テストと同じでしょう?
いくらいい点数をとっても、名前が書いていなかったら、誰もアナタの評価なんてできないし、カンニングをしたら単位没収されるヨネ?

 

スペシャルティに入れる基準

① ウマい=スコアが高い

ウマいとは何か?
哲学的な問いをしているんじゃないのヨ。みんな違って感じる「味」を、どうやって判断するのっていうおハナシ。

SCA(スペシャルティコーヒー協会)という国際機関があるのだけれど、中にいる味見専門家たちがコーヒーをテイスティング(カッピングって言うのヨ)して、点数をつけるの。
専門家ってわかりにくいかしら?ワインでいうソムリエみたいな人たちヨ。

香り、酸味、甘味、後味、雑味のなさとか、全部で8項目100点満点。
そこで80点以上を取った豆だけが「スペシャルティ」って名乗れるワ。

80点がどれぐらいすごいかって?
そうネ、世界のコーヒーのわずか5%。ニンゲンで言うと、医師免許を持っている人の割合が大体それぐらいヨ。

 

②誰がどうやって作ったかがわかる

スーパーでも「〇〇さんが作りました」っていう野菜、あるでしょう?
あれみたいなものヨ。「スペシャルティ」と呼ばれるには、ちゃんと追跡できないといけない情報があるの。

「トレーサビリティ(Traceability=追跡可能性)」とも言われるワ。
どの国どの農園(農協)で、どのように(主にプロセスと品種のハナシ)作られたか、がスペシャルティコーヒーは全て公開されるヨ。

理由は大きく2つ。

まずは、評価対象を明確にするためヨ。
誰が作ったのか分からないものって、誰を評価して良いか分からないでしょう?輸出者が全農園分をまとめて出荷してしまったら、おいしさの功績は誰のものかしら?
地域の代表?それとも輸出者?投資家?

会社組織では良くある「上が全ての評価を掻っ攫っていく」現象と同じネ。部下がいくら頑張っても、これではモチベーションは生まれないし、組織も産業も育たないヨネ。

次に、集合知を活かすためヨ。
ニンゲンの進歩の歴史は、集合知によるもの。ネコもヒトも、一人でできることなんてたかが知れているからネ。

コーヒーの生産情報が公開されると、「えーこんな風な味ができるんだーすごーい」みたいに他の生産者が学びを得られるし、「おいしいー」とか「ここもっとこうだと良いのになー」とか消費側からのフィードバックも届くじゃない?

一人で色々実験するよりも、みんなでやったほうが速いのは当たり前。
こうしてコーヒーは、今でも毎年新しい作り方、品種、飲み方が出てくるような、凄まじいスピード感のあるモノになっているのヨ。

 

スペシャルティの見分け方

お店で見てパッとわかるのは、
「情報がどれぐらいきちんと表示されているか」ヨ。

ブラジルとかエチオピア、とか国名・地域名だけではなくて、農園名やプロセス(ウォッシュド/ナチュラルなど)がちゃんと書かれているか。

○:コロンビア カウカ エル・パライソ農園 ナチュラル
×:コロンビア カウカ スプレモ

カウカは地域名ヨ。なおスプレモはグレード名(スペシャルティではほとんど使わないヨ)。
これって地域名?農園名?ってなったらしれっとChatGPTにでも聞いてみるといいワ。

あとネ、スペシャルティコーヒーの1番の特徴は「フレーバー(香り)」なの。「フルーティ」みたいなふわっとした記載ではなくて、フルーツ系のフレーバー(レモン/いちご/ぶどうとか)の記載があるかと言うのも、一つ基準になるかもしれないワネ。

あとは、Googleマップで「スペシャルティコーヒー」って調べてヒットしたお店だったら大体大丈夫ヨ。AIを信じましょう。

 

スペシャルティが始まった背景

そもそもスペシャルティってなんで生まれたと思う?「ワタシ、アナタのスペシャルになりたいの」なんてロマンチックな理由じゃないのヨ?ちゃんとわけがあるの。

元々コーヒーってネ、市場("いちば"じゃなくて"しじょう"の方ネ)でぜんぶ取引されてた「コモディティ商品」。石油や金みたいに、大量の商品が、一手に国際相場で取引されるモノだったの。(今も7割ぐらいはそうヨ)

誰がどう作ったかは関係がなくて、規格や量でおネダンが決められていたのネ。
スーパーのニンジンも、どれを買っても値段って同じぐらいじゃない?それって、大きさや形でざっくり基準が決められていて、値段がつくからヨ。農家や作り方の違いなんて、買い物をする時には気にしないでしょう?

でも80年代になって、そこに疑問が生まれるの。
「大量取引の中に、もっとおいしいコーヒーがお眠りなっているのではないかしら?」とか、「ワインみたいに、作り手や産地で味がお変わりにならないのかしら?」みたいにネ。

そうして「スペシャルティコーヒー=特定の地域や農園の、個性的で高品質コーヒー」という概念が広まっていったのヨ。農園に対して、公正な対価を払うっていう社会正義も後押ししてネ。

ご存知の通り、ニンゲンはネコと同じで利己的だからネ。背景にはジブンが儲けたいとか、もっとおいしいコーヒーが飲める仕組みを作りたいとか、消費国側の「ツゴウ」があったのだろうけれど。

結果的に、より公平な評価制度を作ることで、生産国側も消費国側も「もっといいものを作ろう」なんて動機づけが働いてネ、コーヒーという産業は一気に発展することになったワ。
ニンゲンはネ、頑張ろうって言っても動かないじゃない?具体的な利益が提示されて、初めて行動を起こすのヨ。
ネコがちゅーるによって初めて「お手」ができるみたいにネ。

90年代になると、「サードウェーブ」というムーブメントが出てきたり、スペシャルティもどんどん身近になってきたワ。ブルーボトルコーヒーとか、アメリカ西海岸文化の世界展開なんて、その代表ネ。

今年(2025年)4月の調査だと、アメリカ人の約46%が、1日以内にスペシャルティコーヒーを飲んでいる(=つまりほぼ毎日飲んでいる)ようヨ。2011年には25%だったのが、この速度の浸透率。スペシャルティコーヒーは、今や当たり前の基準になりつつあるワ。

 

スペシャルティ or スペシャリティ?

ワタシ、ずっとスペシャ"リ"ティコーヒーって言ってたのネ。かれこれ10年ぐらい。
でも他を見ると、みんなスペシャ"ル"ティって言っているの。SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)を見ても、スペシャ"ル"ティって言っている。

あれワタシ、間違えちゃったのかしら?なんて思って調べたら、なんと「Specialty(スペシャルティ)」はアメリカ英語、「Speciality(スペシャリティ)」はイギリス英語なんだって。

だから、ワタシも間違ってはいなかったっていうことネ。
というどうでもいいオハナシでした。ちゃんちゃん。

 

まとめ

長くなったけれど、スペシャルティコーヒーが何か、おわかりいただけたかしら?

「スペシャルティコーヒー=おいしい」←これでは半分しか合っていないのヨ。

☑ スコア80点以上の「ウマさ🐎」
☑ 誰がどう作ったか分かる「透明性🫥」

この2つが揃って初めて「スペシャルティ」。わかった?

機会があったらぜひ、普通のコーヒーと飲み比べてほしいワ。
ネコほどではないけれど、ニンゲンの知恵の結晶のすごさも感じられるかもしれないヨ。(感じられないかもしれないけれど。ふふふ)

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